あやおとりっぷ

散歩と旅、審神者の備忘録。

【文久土佐藩】刀ステ観劇前〜予習/復習編〜

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皆様は覚えていらっしゃるでしょうか?

2019年4月1日、刀剣乱舞-ONLINE-公式のツイートでもたらされた新たなイベントの告知。そして、なんとその次の日にはその全容が高知新聞の朝刊に全面で掲載されるとの情報が流れたあの日のことを。

未だにこのツイート見るとヒェッだとかひぃいいぃだとか変な声をあげながら思わず頭を抱えた記憶が蘇ります…。

そう、刀剣乱舞-ONLINE-で行われるイベント、特命調査の第二弾である『特命調査 文久土佐藩』の告知です。

この時点では坂本龍馬の佩刀として知られている陸奥守吉行の断片と高知城しか確認できませんが、多くの審神者がその少ない情報から沢山の妄想や想像を膨らませたのではないでしょうか。

こちらは4月2日に掲載された広告を、公式ツイッターがツイートしたもの。

高知城をバックに戦闘態勢をとる陸奥守吉行、その後ろには坂本龍馬吉田東洋武市半平太岡田以蔵…歴史上の人物の名前と高知城播磨屋橋、新刀剣男士など気になるワードが描かれています。

 

こちらの広告が掲載された高知新聞への反響は大きく、こうして記事になるほど。

「刀剣乱舞-ONLINE-」全面広告が高知新聞に…Twitterで大反響|高知新聞

(既に懐かしさを感じてしまうというのに、まだ一年も経っていない…わたしもこの新聞が欲しくて当日電話をさせていただいた一人なのですが…当日は電話が繋がりにくくなるほどの反響の大きさだったというのに、とても丁寧かつ優しく対応してくださって感動しました…高知新聞さんありがとうございました…!)

イベントの開催期間は2019年の4月24日から5月15日。同年の10月29日から11月19日には再イベントとして復刻開催もされました。

今になって考えてみると、どちらの期間も登場する刀の元主、登場人物にとって意味がある日程が含まれていることに気がつきます(それについてはまた後日)。

 

上記のイベント同様の、歴史改変された文久3年、1863年の土佐が舞台なのが、舞台刀剣乱舞の7作目である『維伝 朧の志士たち』です。

舞台『刀剣乱舞』最新作 2019年冬、東京・兵庫・東京凱旋・福岡公演決定!

公演自体は11月22日にTOKYO DOME CITY HALLで行われた東京公演を皮切りにスタートしていますが、わたしが観劇するのはこれから行われる神戸公演(12月6日〜)なので、観劇に向けて再度勉強しておきたいポイントを復習も兼ねてまとめておきます。

 

わたし自身は土佐の沼に落ちたオタクであるため、土佐藩にある身分制度や時代の流れを自ら知ろうとする機会があったものの、感想ツイート等を見ていると観劇する人皆が知っている情報ではないということを知り、少しでも情報をもっておいた方がより楽しめるのでは?という気持ちでまとめてみました。

(自分の沼では当たり前でも、ほかの沼の住人の方にとっては知らない情報だったりすること…あるあるです)

※書いている時点では自身も未観劇の状態であるため補足というより、まず頭に入れておきたい情報と思える部分を載せています。

※あくまでも歴史に詳しいというわけでもない一般人が、ただ自分が知りたい!という気持ちで本を読んだり調べたものなので、一部間違いがあるかもしれません。その点、ご了承くださいませ。(DMなどでそっと御教授いただけますと幸いです…小声)

 

 

まず、登場する人物たちからみていきます。

坂本龍馬

説明はいらないかと思いますが、陸奥守吉行の元主。土佐藩郷士の家に生まれ、脱藩したあとは志士として活動。京都近江屋にて暗殺される。

武市半平太

このイベントで実装された南海太郎朝尊の元主。祖先は土佐藩郷士でありますが、働きが認められて白札に昇格している。土佐勤王党を結成。しかし京都で起きた政変を契機に土佐勤王党は弾圧され、武市も投獄。切腹を命じられる。

岡田以蔵

同じくこのイベントで実装された肥前忠広の元主。郷士(小説などで足軽として描かれることもありますが実際は郷士であったとされる)。土佐勤王党に加盟(土佐勤王党血盟者妙名名簿からは名前を削除されている)。天誅と称し暗殺を行う。強引な押し借りにて捕縛、のち土佐にて打ち首、獄門。

吉田東洋

土佐藩士、参政。階級制度改革や法律の制定などに積極的に取り組むも、公武合体を唱える東洋は尊王攘夷を唱える土佐勤王党らには受け入れられず、暗殺される。

 

 

ここでまず『郷士』『白札』というあまり聞きなれないワードが出てきたと思います。

これはこの時代にある土佐藩身分制度、それに分類される身分です。大まかに上級武士(上士)、下級武士(下士)に分類され、下級武士である下士は政治に参加することは許されないばかりか、

  • 上士は絹の服を着るが、下士は木綿しか許されない
  • 雨の日、上士は高下駄を履くが、下士には歯の低い下駄しか許されない

等、着るもの、履くもの、笠の使用にいたるまで細かい規則が定められていたそうです。

勿論、罰則も上士には甘く、下士には過酷なものを言い渡すなど他の藩では考えられないような身分差別が存在していたのです。

 

土佐藩の格式は

  1. 藩主
  2. 家老、参政
  3. 中老
  4. 馬廻
  5. 小姓
  6. 留守居
  7. 白札
  8. 郷士
  9. 用人
  10. 歩士
  11. 足軽

に分類され、留守居組以上が上士、白札以下が下士となります。

武市半平太の白札というのは下士の中でも上士に準じた待遇を受けられる身分です。

坂本龍馬郷士、という身分の低い武士ではありますが、もともとの本家が才谷屋という豪商だったため、裕福な家庭で育ったとされています。

 

そもそも何故そんな身分格差が存在したのかというと、1600年に起きた関ヶ原の戦いまで遡ります。

戦国時代末期、土佐藩の領域は長宗我部家が統治していました。しかし、関ヶ原で西軍に与していたため改易(身分を落とし、家禄や屋敷を没収すること)となり、この合戦で徳川家に味方していた山内一豊土佐国を与えられ治めていくことになります。関ヶ原の戦い以前から山内家に仕えてきた藩士を上士、それ以外を下士としたのです。

 

 

 

登場人物の整理ができたところで、では文久とはどんな年だったのでしょう。

文久元年(1861年

8月 土佐勤王党結成

文久二年(1862年

3月 坂本龍馬脱藩

4月 吉田東洋暗殺

文久三年(1863年

8月 八月十八日の政変

9月 土佐勤王党弾圧が始まる

以上が大まかな流れになるのですが…

今回の舞台刀剣乱舞 維伝 朧の志士たちのあらすじを見てみましょう。

入電──肥前忠広より突然の出陣要請。
本丸は陸奥守吉行、和泉守兼定堀川国広鶴丸国永、小烏丸の5振りの出陣を決めた。
行き先は1863年文久土佐藩土佐勤王党が恐怖政治を敷く“放棄された世界”である。
出陣先で肥前忠広、そして南海太郎朝尊と合流した刀剣男士たちはこの歴史改変を正すべくその中心人物の捜索を開始。


任務中に出会った坂本龍馬と共に行動を起こすことを決めるが……

まず、1863年9月には弾圧されてゆく土佐勤王党が恐怖政治を敷いている、さらにはその頃の土佐にはいないはずの坂本龍馬が存在しています。

刀ステのあらすじだけでもかなり歴史が修正されてしまっています。

かつ、(※以下ゲーム画面含むネタバレ含みます)

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と語られるように、高知城下町で戦う相手、敵の親玉は既に暗殺されているはずの吉田東洋であり、東洋自身ではうまく抑えることができなかった土佐勤王党の首魁となって存在している…とにかくめちゃくちゃなわけです。

 

そしてゲームでのイベント、高知城の本丸御殿で戦うことになるこの歴史修正の首謀者に勝利した後、陸奥守、南海太郎朝尊、肥前は意味深な会話を交わしています。

肥前忠広

『そりゃあ、あの姿……』

南海太郎朝尊

『……だが偽物だ』

陸奥守吉行

『まだ、どこかで生きちゅう』

『こんなところでは、まだ死ねんはずじゃ』

※一部抜粋しております

さらには戦いが終わった本丸御殿には壊れた銃が落ちている。多く語られることはないですが、逆を言えば想像の余地が広がっているということ。それは、いろいろなメディアで展開されている刀剣乱舞というゲームの深さでもあるともいえると思います。

そして同じくゲーム内で語られる

『歴史を守るのは刀の本能』

についても、考える余地がありそうです。

 

 

未だにストーリーのネタバレを踏まずに生きている審神者がお送りした予習編、いかがでしたでしょうか?

同じ沼の方にはおなじみの内容になるかと思いますが、他の沼に沈んでいらっしゃるの方のお役に少しでも立てたのであれば幸いです。

 

そして、あと数日で開幕する神戸公演、東京凱旋公演、福岡公演、観劇される審神者さん、全力で楽しみましょう…!!